夫婦で器に興味を持ち始めたのは確か、2010年だったと記憶しています。粉引、木の器、染付など見て行く内に、漆器と出逢いました。当時30代前半の私達にとって、器をポンポン気軽に買える暮らしではありませんでしたが、作家さんが一つ一つ心を込めて作り、丁寧に説明し、料理を盛り付けた状態を想像させてくれる会話が楽しくて、どんどん器の世界へ惹き込まれて行きました。
直接口を付けるお椀。漆は人と非常に相性がいいのだよと教えてくれたのは、塗師として大人気の赤木明登さん。
お客になるかどうか分からない私達を、出逢った当初から別け隔てなく大切に接して下さったお陰で、個展にも勇気を出して何度も伺い、能登のゲストハウスまでお邪魔させて頂く機会に恵まれました。
2014.8.31 blog|能登☆赤木さんの工房へ再び戻る
師走の半ば。「ものすごい情熱で取り組んでるイベントがあるから、ご都合つけば是非」と赤木さんにお誘い頂き、それならば夫婦で是非!ということで、2泊3日 能登への旅へ行って参りました。
1月18日(金)
中村好文氏設計「あめや」
建築家 中村好文さんは夫婦揃ってのファン。2016年春〜秋にかけて、建築のお勉強に、好文さんの元へお勉強に通っていた際には、そのお人柄や気さくさに益々魅了されました。今回せっかく能登まで行くからということで、真夜中に本棚から好文さんの本を取り出して来た主人。七尾にある鰻屋の老舗を見付けてくれて、こちらでランチを頂くことにしました。器が寸法ピッタリの食器棚に綺麗に収まっていて…やはりそちらに目が行ってしまいます😉
あめやさんの掛け軸は、ツケ払いされていた方達の手書きの台帳がそのまま使われており、代々受け継がれたモノをこんな形でディスプレイされるアイデアに、感動しました。
赤木明登さんの工房へ
14:30 工房へ到着
明登さん・智子さんご夫妻です。
明登さんはイベント準備でいらっしゃらないと伺っていたのに…まさかの再会に嬉しさが込み上げます。個展では全国を飛び回り、海外での個展もおありなので、本当に貴重な時間。少しお話をし、恒例の書斎を拝見し、ちょっぴり収納の雑談もさせて頂きました。
夜は人気店で予約の取り辛い「アユート」に行きたかったのですが、うっかり予約をし忘れへこんでいました…が、智子さんがお電話を掛けて下さりお席をご用意して頂けることになりました。ほんとにありがとうございます!!
赤木さんのゲストハウス
4年半ぶりにやって来ました。赤木さんが遠方のお客様の為に創られた「ゲストハウス」。古い家屋を建築家 中村好文氏がリノベーション。圧巻の本棚やアンティークの家具、オブジェや能登の海で拾って来た石ころなど、見ていて飽きないモノばかりです。
2階のテーブルには、朝食用のパンが、数日分のゲストの為にたっぷり置かれていました。至れり尽くせりの、それでもって控えめで上品なおもてなしの仕方が、勉強になります。
アユートで夕飯
輪島の人気イタリアン|アユート
元々は広島市中区の人気レストランが移転されて来たとのこと。広島出身の私としては、この繋がりも何とも嬉しい。今回、オーナーは広島でイベントの為、代わりのシェフの方が「精一杯務めさせて頂きます」と調理して下さいました。安心して任せられるスタッフが居るなんて、オーナーもさぞ心強いでしょうね。任されたシェフも存分に実力を発揮して下さり、大変美味しく頂戴しました。
ゲストハウスで晩酌
今回は10名での宿泊。エスキスイベント 最初のディナーに行かれた方達がほろ酔い気分で興奮冷めやらぬまま、赤木さんと共に帰って来られました。初めましての方達ばかりだったのですが、あれ??私達ここに居て大丈夫???と思う様な方達ばかりで…
まずはエスキスのオーナー 大徳真一社長。お話が大変お上手で、ダンディで、日本の文化・伝統を守って行こうという意気込みに深く共感。
手ぬぐいで有名な、株式会社かまわぬ 専務取締役 高橋基朗さん。赤木さんとの掛け合いが絶妙で、沢山笑わせて頂きました。
ガラス造形作家 有永浩太さん。今回のイベントで、ワイングラスを提供なさった作家さんです。奥様の史歩さんは、明るくて気遣い上手で素敵な奥様☆
大分県 株式会社 富春館 総支配人 帆足めぐみさん。「帆足家はお城だよ」と皆さんが仰るので、ディズニーランドの様な洋風イメージをしていましたが、日本のいわゆる「お城」とのこと。カフェ・レストラン・ギャラリー・菓子処・酒造り資料館など、沢山お在りの様です。頂いたカタログをゆっくり拝見し、いつか伺ってみたいです。
能登デザイン室 奈良雄一さん、奥様の田口千重さん。
ゲストハウス2階の鳩時計を作っていらっしゃいます。
なんとお二人とも横浜国立大学 建築学部ご出身で…
3年間同じキャンパスで過ごしていた事が分かりました。
暫く大学生に戻った様にお話しました。
まさか能登で、この様な接点を持てるとは!!
人のご縁って不思議で仕方ない。
一気に親近感が湧いた瞬間でした。
1月19日(土)
大地と月のあいだ
料理と器の説明は割愛させて頂き、感じた事を書いてみます。まずは、料理人3名のコラボレーションということで、どの様なコーススタイルになるのかが楽しみでした。お互いをリスペクトし、信頼し合い、担当の料理ごとに順番にバトンを繋いで行く「つながり」がスムーズで。調和され、リズムになり、メリハリが付いたまるで1曲の様な会食。赤木さんの器は今回の為だけに作られたモノもあり、そこまで本気で取り組んでしまわれる「情熱」に心奪われました。リオネル・ベカの「目」が優しかった😍慈しみ、大切にし、生かすという愛情を、料理からひしひしと感じ取りました。
食べないと分からない「味」当たり前の様に行っている「食べる」ということに対して、掘り下げて言葉にして感謝をするというイベントコンセプトに、とても感動しました。
NSゼミでご一緒しているほづみさんの親友夫妻が、このイベントに来られていた様で!!こんな偶然にもまた大変驚いてしまいました。
1つのイベントに向けてプロフェッショナルチームが本気で取り組んだ最高のイベント。この大きなエネルギーを受け止めるには、私はまだまだ未熟過ぎて、パワーに負けそうになっています。結婚式の後の感覚ととてもよく似ている。すごく幸せで楽しいのに、ありがた過ぎてどこか戸惑っています。
いつか咀嚼して、自身の栄養と出来る日が来るまで、この思い出を胸に刻んで暮らして行こうと思います。
チームエスキスの皆さま、関係者の皆さま。思い出深いイベントを、本当にありがとうございました。